蔵元訪問記「黄金酒造」パート2


 悪いところを取り除いた芋が、蒸気で蒸されています。これで芋を蒸かします。蒸かしたばかりの芋を食べてみました。甘さはやや控えめで美味しかった。  蒸かした芋は、細かく砕かれていきます。

 細かく砕かれた芋が、移動していきます。手前右にある袋に詰められていきます。  蒸かした後、細かく砕かれた芋チップです。その後、乾燥させます。

 黄金酒造さんの原料芋は、上記のようにして細かく砕いた状態で乾燥させて保存します。したがって長期間の保存が可能です。このため、普通の芋焼酎の蔵元の仕込み時期は、芋の収穫期と同じ9〜12月までですが、黄金酒造さんでは、ほぼ一年中(7〜8月は気温が上がりすぎて不可能)造れます。
 この原料の芋を処理する場合に、2種類の原料芋チップが造られる。ひとつは生芋のままチップにしたもの。もうひとつは蒸かした後にチップにしたものである。生芋チップは一次仕込み用に(麹芋用)、また蒸かし芋チップは二次仕込み(掛け芋用)に使われる。これは、幾度の試験製造の結果、この方法が製造過程、また製造後の焼酎の風味ともに最良であったそうである。

 芋を保管する倉庫です。  「黒酢」の仕込み甕です。実はこの「黒酢」は通常の黒酢とは違います。ななな〜んと芋焼酎のカスを原料としています。もちろん普通の米を原料とした「黒酢」がメインですが、今年からはじめてこの焼酎カスを原料とした黒酢造りに挑戦されたそうです。

【焼酎カス】

 焼酎カス問題は、焼酎メーカーにとって避けては通れない深刻な問題なのです。現在は殆どが海洋投棄されています。しかしそれも環境汚染になるために、しだいに難しくなってくるようです。

 この黄金酒造さんの焼酎カスの処理方法は、処理ではなくてまさに有効利用です。なんとこの栄養豊富な焼酎カスを「黒酢」に変えてしまうのです。捨てるどころか、これでまた商売になるという素晴らしいアイデアです。但し、どんな焼酎カスでも黒酢に変われるのではなく、黄金酒造さんの芋を細かく砕き、乾燥させて仕込みという独特の製法だからこそ可能なのだそうです。
 焼酎カスで仕込んでいる「黒酢」の発酵途中です。
甕の大きさは30Lです。一次仕込みの麹を入れ、そこに焼酎カスを流しこむ。天然酵母や酢酸菌で自然発酵させ、一年かけて熟成させる。上澄み液を酢として抽出した後の底に残る「酢カス」も、乾燥させて粉状の健康食品に加工する計画だそうです。・・・・・・・・・・・・・・・本当に捨てるところが無い。

 これが、芋麹の麹室(こうじむろ)です。特別に開けていただきました。しっかりと温度・湿度管理されています。  その芋麹を少々取り出して見せてもらいました。これが、芋麹です。はじめて見ました。ややスポンジのような弾力のある感触です。



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